それでもあなたと結婚したいです。
千春さんの腕を引っ張って近くのワゴン販売に連れていく。
ワゴンの台には色んなキャラクターのファンキャップが色とりどりに陳列されている。
「いや~ん!!可愛い~!どれがいいかな~!」
その中でもおっきいふわふわの耳の付いた物を選ぶ。
「さあ、千春さん!」
千春さんのニット帽を取ると勢いよく被せた。
「きゃー!可愛い~!似合ってますよ!」
「なっ何で俺が?……女性が被る物なんじゃ……」
「あ~~!せっかく教えてあげてるのに疑うんですかぁ?ほら、あの人を見てください。」
丁度、中年のぽっちゃりオヤジがめちゃめちゃ可愛いキャラクターのファンキャップをして横を通って行った。
(グッジョブ、オヤジ!!)
「あ……あぁ。どうやらそうみたいですね?」
渋々受け入れた模様。
「でしょ?じゃあ、私はこっち!」
ピンクの色違いのファンキャップを被る。
「どうですか?色違いでお揃い~……」
(しまった。さすがにこの歳でお揃いはないよね?)
引くに引けない、引き攣った笑顔がフリーズする。