それでもあなたと結婚したいです。
「待てって………。」
離れようとする腕を掴まれる。
「やだって、………離して!!私、結婚してるんだよ!!」
「そんなの知ってる!!!」
怒りがこもった声と掴まれた手に力が入る。
「痛っ……。」
「そんなの関係無いくらいお前が好きだって言ってるんだ………バカだって分かってる。…………お前が結婚するまで気づかなかったんだ。」
苦しそうに話す藤森の瞳。
一瞬考えてしまった。
もし、藤森と結婚してたら、なんの問題もなく、子供も出来て……そして……
「花枝……。」
それは、ほんの一瞬だった。
何かが私の唇に触れて直ぐ様離れた。
「やめて!!」
勢いよく突き飛ばす。
我に返ると体が自分への嫌悪感で震えている。
(私…今、何考えた?なんて最低なこと……。)
「花枝……ごめん。だけど俺はー」
「今のは、なんですか。」
声の主に振り返るとそこには千春さんが立っていた。