それでもあなたと結婚したいです。

「待てって………。」


離れようとする腕を掴まれる。


「やだって、………離して!!私、結婚してるんだよ!!」


「そんなの知ってる!!!」


怒りがこもった声と掴まれた手に力が入る。


「痛っ……。」


「そんなの関係無いくらいお前が好きだって言ってるんだ………バカだって分かってる。…………お前が結婚するまで気づかなかったんだ。」


苦しそうに話す藤森の瞳。


一瞬考えてしまった。


もし、藤森と結婚してたら、なんの問題もなく、子供も出来て……そして……


「花枝……。」


それは、ほんの一瞬だった。


何かが私の唇に触れて直ぐ様離れた。


「やめて!!」


勢いよく突き飛ばす。

我に返ると体が自分への嫌悪感で震えている。


(私…今、何考えた?なんて最低なこと……。)


「花枝……ごめん。だけど俺はー」


「今のは、なんですか。」


声の主に振り返るとそこには千春さんが立っていた。


< 142 / 436 >

この作品をシェア

pagetop