それでもあなたと結婚したいです。
20 仲直りまでの距離
携帯のアラームが朝を告げる。
昨日は休みで、家族で遠出してたから早起きが辛い。
ボーッとする頭にムチ打って、布団を出る。
横を見るとまだ一歳の瑛斗が眠っている。
可愛い寝顔に癒されながら元気を貰う。
洗濯機にスイッチを入れて顔を洗った時だった。
ピンポーン
(えっ?こんな朝早く?)
訝しげにインターホンのモニターを覗くと誰も映っていない。
「やだぁ。こわっ。」
無視して朝食の準備をしようとするとまたインターホンが鳴った。
恐る恐る玄関のドアを開けると、しゃがんで小さくなった花枝が居た。
「おはよー。」
「あんた……こんな朝っぱらから…………………ほら、さっさと入りな!」
花枝の目は泣き張らしたのか、真っ赤だった。
きっと、あの訳あり旦那の所為だろう。
朝の慌ただしい支度の中、花枝はいつも通りに子供達にも普通に接し、ふざけたり笑ったりしていた。
ようやく、私が自由になる頃には気が紛れたのか、少し元気になったようだった。
「何飲む?特別にMayu's Cafe オープンしてあげる。」
「ふふっ……何それ?……じゃあ、失恋に効くコーヒー、お願いします。」