それでもあなたと結婚したいです。
小さなキャンドルを、ハート型に並べて火を点けてみる。
「わぁ-~!結構いいじゃん!」
色とりどりのパステルカラーのキャンドルが内に小さな炎を抱いてほんのり光っている。
「本当に綺麗………。」
ゆらゆら揺れるキャンドルを眺めていたら、ふとあの夜のことを思い出した。
あの時の千春さんはちょっといつもと違った。
もう少しでキスされそうな距離だった。
「何が救世主よ………キスさえも拒否られてんのに……。やっぱ、私じゃダメなのかな…………。」
うるっと涙腺が弛みそうになるのを、天井を仰いでグッと堪える。
♪~♪♪~~♪♪~~♪~♪♪~~
メールの着信に慌てて携帯を見ると黒木先生だった。
「なんだ……先生か。えーと、なになに………?」
“どんなに拒否られてもあなたは彼を諦めてはいけない。それが、彼から信頼を得る唯一の方法。あなたは逃げない格好いい女の筈、頼みましたよ。 黒木”
「相談して返ってきたのがこれ?当たって砕け続けろってこと?私を何だと思ってんのよ!……まったく。」
肩の力が抜けて、サプライズで準備した部屋の中を見回す。
「こちとら、もうとっくに砕ける準備は出来てるんでぃ………。」