それでもあなたと結婚したいです。
たった一日会わないだけなのに、彼女の存在は俺の全てを左右した。
どうしてこんなに彼女だけなんだろう?
初めて俺を受け入れてくれた人だからだろうか?
俺からしたらそれだけでも充分な理由になるだろうが、それだけじゃない何かが俺の中で芽生え始めている。
気持ちを落ち着けようとブランケットを取りに行こうとすると手を掴まれた。
「千春さん……。良かった。帰ってきた……。」
誰かが髪を撫でている。
優しく、ゆっくりと、大事な物でも触るように。
離れてくその手を繋ぎ止めたくて手を伸ばした。
夢うつつの中、私は千春さんを捕まえた。
「花枝さん……!」
掴まえた筈の手は、また振りほどかれる。
私は必死に名前を呼んだ。
「千春さん!!行かないで!私の話を聞いてください!!」
(これは夢じゃないんだ!千春さんが目の前にいる!)
背を向けたまま、千春さんは立ち止まっている。
「あの日はすいませんでした。全部私が悪いんです。あの時パークまで足を運ばなければ……ちゃんと千春さんに連絡してれば……、何度も何度も後悔しました。彼とキスしてしまったことも……。本当にすいません。でもー」
「貴女の所為ではありません。全部私の所為です。それは分かってるつもりでした。それでも、理不尽な事に、許せなかった。そんな資格もないのに。」