それでもあなたと結婚したいです。
ふらつく頭で佐伯さんは何か考えてる様子。
「あの、佐伯さん?取り合えずソファーにでもー」
「奥様。こちらのファイルの重役をご存知ですか?」
さらっと見ると大体がうちで取引してる会社の人達だった。
「えぇ、大体は知ってますし、面識もあります。」
佐伯さんが急に私の手を掴んだ。
結構な力が入っている。
千春さんは突然の秘書の暴挙に唖然としていた。
「奥様!!どうか、今日のパーティー、泉CEOの秘書になって頂けませんか!!お願いします!」
「えっ!!」
「佐伯!!何言ってるんだ!そんな急に無理に決まってるだろ!!」
千春さんに見向きもせず、熱で浮かされながら佐伯さんは必死に私に懇願する。
「今日のパーティーはとても大事なんです!!礼儀を欠いてはやっていけません!!どうか、奥様!!」
私も秘書として佐伯さんの気持ちは痛いほど分かる。
自分の所為で上司の足を引っ張る事になるなんて、私でも耐えられない。
私は無意識に佐伯さんの手を握っていた。
「分かりました!出来るだけ頑張ります!私も秘書の端くれですから!!…………だから、佐伯さんはちゃんと病院へ行ってください!」
「奥様!!………ありがとうございます!!!この御恩は忘れません!!」
佐伯さんは安心したのか息苦しそうにソファーに身体を沈めた。
「千春さん!!!私は今から覚えられるだけこのファイルの人物を詰め込みますから、着替えは自分で準備してくださいね!!あっ!その前に佐伯さんを病院に送って来てください!」
「えっ……………………。」
「いいですね?」
「はっはい!!」
千春さんが何か言いたそうだったけど、私はそんな暇を与えないように、千春さんの背中をぐいっと押して行動を促した。