それでもあなたと結婚したいです。
「えっと、この人は………MFの専務の佐藤様。そして、常磐グループの社長の熊谷様。………それから………」
千春さんの会社は外資の洋菓子機器の会社だ。
それにともない様々な企業と取引してる。
うちの会社は広告代理店だから、少なからず接点はあったけど、末端の会社までは、さすがに分からない。
何とか詰め込んで記憶に蓋をする。
「花枝さん。そろそろいい?」
遠慮がちに入ってきた千春さんは既に着替えていた。
グレーの少し光沢のある3ピースのスーツに細めのエンジのネクタイ、それに合わせた色が入った柄物のチーフ。
髪は私の好きなおしゃれ七三だ。
(わぁ、………かっこいい………。)
「花枝さん?………大丈夫ですか?」
「だっ大丈夫です!」
「少し早めに出発したいんですけど…………いいですか?」
(ヤバイ、ヤバイ。見とれてる場合じゃない!)
「あっはい!……………… 今、着替えますから、ちょっと外で待っててください。」
「それなんですけど、……実は、うちの秘書にはパーティーのドレスコードがあるんです。なので、今からちょっといいですか?」
「あ、はい!分かりました!」
(確かに郷に入っては郷に従えって言うし、秘書が派手な格好してたら確かによろしくないものね。)
「じゃあ、行きましょう!」