それでもあなたと結婚したいです。
千春さんの車に乗って夜の街を走っていると、窓から街の夜景が見えた。
(考えてみたら、二人っきりで夜の街をドライブなんて、初めてなんだ………。)
夜の景色も素敵だけど、横で運転している千春さんも素敵過ぎて、何度もチラ見してしまう。
夜景と千春さんに見とれながら、暫く走っていると、車が止まった。
「花枝さん。行きましょう!」
千春さんが助手席に回ってドアを開けてくれる。
見ると高級ブティックの前だ。
(嘘でしょ?秘書がこんな高いとこの着るわけ?千春さんの会社って凄い…。)
店内に入ると直ぐに店長が出迎えて、V.I.P.ルームに連れられていった。
黒のパンツスーツで揃えられた社員の一人が、飲み物を聞いてきたりと至れり尽くせり状態。
(V.I.P.ルームなんて、初めてなんですけどぉー!凄い!)
「泉様、奥様。本日は当店に、ご来店くださいまして誠にありがとうございます!先ほどお電話でお話いたしましたドレスをいくつかご用意しております。」
「今日は急いでいるんだ。」
「かしこまりました。それでは、直ぐにご用意致します。」
真っ白のふわふわのソファーに、緊張気味に座って居ると、何点かのドレスが運ばれてきた。
どれも、黒を基調としたドレスだ。
(確かに黒は間違いないし、上品になるものね。)