それでもあなたと結婚したいです。
「泉CEO。此方にいらしたんですか。」
「あっ、金子くん。どうして君がここに?」
(千春さんの知り合い?)
急に割り込んできた見知らぬ女性が千春さんに話し掛けた。
ベアトップのミニのドレスを着こなした彼女は、まさにモデルの様で長い足を惜し気もなく出している。
「佐伯さんから留守電が入っておりました。本日は休暇中だったんですけれども、泉CEOがお困りなのではと思いまして。」
「………そうか、他の秘書に当たってみたと言っていたからな。………でも、来てもらったところ悪いが、今日は期間限定の特別秘書がついてるから大丈夫だよ。帰って休暇を楽しんでくれ。」
「特別秘書………?」
千春さんに金子と言われた女性は横目で私を上から下までじろりと値踏みする様に見た。
「泉CEO、此方はどなたですか?」
(なんか、さっきから感じ悪いんだよねこの人………この人もしかして………)
千春さんが少し、彼女に近寄って耳打ちする。
見てると何だか嬉しそうに彼女も近寄った。
(なんなの?あの人!千春さんも近寄り過ぎ!!)
「まぁ、此方があのお噂の奥様なんですか!………………初めまして、泉CEOの下で働いております、秘書課の金子 留美です。どうぞ、お見知り置きを。」
にっこり笑った顔には敵意が丸出しだった。
(はは~ん……、さては千春さんを狙ってだけど、私にかっ攫われて、………それで、恨まれてるって訳ね。)