それでもあなたと結婚したいです。
23 スキャンダル
帰り道、色んな物に八つ当たりしながら歩く。
一向に気分が晴れない。
自宅に帰ってきてやっと声を出して悪態をつく。
「一体何なのよ!!あの女の何処が言いわけ?普通よりちょっと可愛いだけじゃないの!私の方がスタイルはいいし、仕事の面でも泉さんを支えられるのに!!」
二人が抱き合ってるシーンがリフレインする。
「たかがお見合い結婚じゃない。本気で好きなわけない。………それなのに、………何なのあの二人………。」
何かが引っ掛かるけど、モヤモヤしたままその何かが分からない。
「私は本気で好きなんだから………絶対諦められない!!」
入社当時、仕事に慣れなくて大きなミスをしてしまい、こっぴどく叱られて、独りで隠れて泣いていた時、本人からではないが人伝にハンカチを渡してくれた事があった。
そのハンカチは今でも大事にしまってある。
ずっと、いつかを夢見て頑張って来たのに。
「酷いです………。」
返すタイミングを逃したハンカチは何も変わらず、以前と同じままだ。
「あれから私は貴方に吊り合うように全てに磨きをかけてきた。私は前のままじゃない………。」
色んな感情が体の中で暴れている。
「どんな事をしてでも、必ず手に入れてやる…………。」
手の中の真っ白なハンカチはいつの間にかくしゃくしゃになっていた。