それでもあなたと結婚したいです。

会議に必要な資料をコピーしてテーブルに並べる。

秘書の仕事では無いけれど、いつも担当のコが毎回大変そうに独りで並べてるのを見てから手伝うようになった。

どうやら、新人に対しての軽い嫌がらせの様だ。


「企画部から、もう一人くらい手伝いに出して貰えないの?いつも、角田君一人で大変じゃない?」


「大丈夫です!俺はまだ下っ端なので、これも勉強です!それに、どうですか?前より、もたつかなくなってきたでしょ?」


彼は資料を並べた机を片腕を伸ばして自慢げに私に見せた。

「そうね。………じゃあ、私は手伝わなくても大丈夫そうね?」


「そんなぁ!!花枝さんに見捨てられたら俺、泣いちゃいます!」


「バカね。」


これっぽっちも泣きそうもない顔で、私にすがってくる。

まるで、気紛れに懐いてくる犬みたいだ。


「お手!」


「わん!!」


私の手にしっかり手を乗せ、黒目勝ちな目で私を見てくる。


(やっぱり犬だ。フフッ。)


「よーし!いいコだ!あと少し、さっさとやっちゃおー!」

「わぉ~~ん!!」


「バカ!声大きすぎる。あははっ!」


「酷いっすよ!花枝さんが仕掛けて来たくせにぃ。」


「ごめん!ごめん!」


ペットボトルが入った箱を持ち上げようとしてよたつく。

秘書は身なりもかなり気をつけなきゃいけないので見た目重視で、靴はいつもハイヒール。

こうゆう作業では機動力がない。


「俺、持ちます!」


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