それでもあなたと結婚したいです。
横から伸びてきた手に軽々と箱を取り上げられる。
「体力だけはあるんで!こうゆう時は頼ってください!」
ニッコリ笑う角田君は若さが弾けていた。
(若いっていいなぁ。私もこうゆう時があったなぁ。)
「俺、今はこんな下っ端だけど、いつかでっかいプロジェクト成功させて、企画部部長に出世したいんです。」
角田君は目をキラキラさせて話し始めた。
「へぇ~、凄いじゃない。でも、かなり大変よ?普通に仕事してたらまず出世は無理。」
「分かってます!だから俺、今、いっぱい企画練ってて。毎日仕事ばかりです。」
「若いうちは頑張らないとね!私が付いてる白川部長は今でさえ仕事ばっかりなんだから。もう少し下の人に頼んでもいいと思うんだけど………でも、そうゆうの全部引っくるめて私は尊敬してる。」
「俺、本当はもう一個夢があって、企画部部長になったら、……………………花枝さんに秘書に付いて欲しいんです!実はこっちの方がモチベーションに繋がってます!!」
「私?」
「はい!俺の専属に!!」
「あはははっ!頼むから私がお婆ちゃんになる前に出世してね!」
こんな若い男の子から指名を受けるなんて思いもよらなかったから思いの外、嬉しかった。
(私も案外捨てたもんじゃないわね!)
「それって出世しないと思ってるでしょ?酷いっすよ花枝さん!!」
「そんな事ないから、楽しみにしてる!」
いつか、そんな日が来たら、今日の日を思い出すのだろう。
そう思うと私はこの日を忘れたくなくて心に留めた。