それでもあなたと結婚したいです。
帰り道、泣きながら私は黒木先生に電話した。
「先生!私、やっぱり無理です!!………別に私じゃなくてもよかったみたいだし………。もう嫌なんです!苦しいし、泣きたくないのに千春さんの事となると直ぐに涙が滲んできて……こんなに弱くて………まるで私が私じゃないみたい!!」
「花枝さん。一体どうしたんですか?落ち着いて、ゆっくり話してください。私はあなたの話を全て聞きますから。」
私は今までの事を全て話して聞かせた。
自分が実行に移そうと考えてた事も包み隠さずに。
黒木先生はいつもより一段と優しい声で私に語り掛ける。
「話してくれてありがとうございます。よく分かりましたよ。それで全てを踏まえて聞いてもいいですか?」
「………はい。」
「あなたはその女性との事を知って、飛び出して来たんですよね?では何故、泉さんが倒れたのか、病状の方は聞きましたか?」
「!!」
(そういえば、千春さんは倒れて病院に………何故?)
「以前こんな事がありました。泉さんが大学生の頃、随分と積極的な女性がいまして、泉さんは断り続けていたのですが………………ある時、痺れを切らしたその女性が飲み会で酔いつぶれている泉さんを介抱するふりをして、事を成そうとしたのです。………要するに無理矢理SEXしようとしたんですね。その時も未遂に終わったのですが、目を覚ました時の光景を見て、ショックで気を失いました。その後、暫くは症状が一時的に悪化しました。」
「私………もしかして勘違いした………?」
「恐らく………で、どうしますか?」
「先生!もう、切ります!」
「えっ?どうするんですか?」
「そんなの決まってる!!今すぐ謝ってきます!!」
私は直ぐ様電話を切ると風のように走り出した。
走りにくいパンプスだったけどそんなの気にしない、病院までもてばいい。
少しでも早く千春さんの元へ!