それでもあなたと結婚したいです。
エレベーターのドアが閉まる瞬間、私の視界は千春さんで占領された。
「ん………んん!!」
(ちょっと!千春さん!!後ろにまだアイツが居るのにぃ~!!)
バタバタと暴れる私の両腕をエレベーターの壁に留めて千春さんは更に深くキスを迫ってくる。
羞恥心より快感が勝って私の脳内のアドレナリンは爆発しそうだ。
「ち………はる………さ………」
「また、俺の居ないうちに他の男に言い寄られて………本当に貴女は油断も隙も無い。………俺はおちおち仕事もしてられない。」
「千春さん!ごめんなさい!私ー」
「花枝………。」
名前を呼び捨てされて顔を上げると、千春さんの熱い眼差しとぶつかる。
「ずっとそう呼びたかった…………。今日からそう呼んでいい………?」
「………うん。」
「………無理だって分かってるけど、本当は君の全てを独占したいんだ。だから、花枝を誰にも渡す気はないよ。」
そう言って千春さんは噛みつくように私にキスをした。
無防備な私への罰だったのか、それともあの人への見せしめだったのか。
エレベーターが止まるまで私は千春さんの甘い檻に閉じ込められたままだった。