それでもあなたと結婚したいです。
こんな気持ち…ずっと忘れてた。
「笑った顔、凄い可愛いよ?」
急に真剣な顔で話されるとついドキッとしてしまう。
今まで誰にも言われたことの無い言葉。
「俺達、出会ったのもなにかの縁だと思って、心底俺に尽くしてくれない?」
ふざけてるのか本気なのか相変わらず分かりづらい人だけど、嘘は無いことは信じられる。
自分でドロドロに塗りたくっていた心。
あの人以外には絶対開かないと思っていた頑なな心を、この人はシンプルな言葉のマジックで意図も簡単にあけてしまった。
こうなったら後には戻れない。
「分かりました!でも、覚悟してください。私が本気出すとかなり厳しいですからね!!」
「うぁ~、どうりでドS顔してると思ったんだぁ~!」
「宮前部長!!人の顔見て、そんな事思ってたんですか!!」
「大丈夫!!俺、怒られる方が伸びるタイプだから………いっぱい怒って………。」
か弱い子羊の様な目をさせて私を見てくる。
「そんな目をしたって、許しません!!魂胆は分かってるんですからね!」
ぐぃっと部長に詰め寄るとヒールが床の溝に引っ掛かってよろけた。
「きゃっ………!!」
よろけた先は宮前部長の膝の上で、丁度乗っかるような形で収まった。
「金子秘書も大胆だね~。俺はオフィスラブも構わないよ!」
「違います~!!」
避けようとすると腰を掴まれて膝の裏に手を回された。
まるで椅子の上でお姫さま抱っこだ。
恥ずかしすぎるこのシチュエーション。
さっきから熱い顔はきっと真っ赤だ。
「あぁ~残念。そろそろ会議に行かないと遅刻だ。さぁ、行こうか?」
そう言って笑いながら私を見ている。
「宮前部長………覚えてなさいよ!」
私は真っ赤な顔で、精一杯睨んで見せた。