それでもあなたと結婚したいです。
ずっと敬遠していた秘書課に久し振りに向かう。
デスクには自分の使いなれた物が数多く残ったままだったのでそれを調達するためにも行く事を決心した。
秘書課に入ると皆、驚いたように、遠巻きで何か言っている。
こうなる事は覚悟の上だったから、気づかないふりをとおした。
帰りがけ、休憩室の前を通ると呼び止められた。
「金子さん。」
この甘ったるい声、聞き覚えがある。同期の佐藤みくるだ。
「久し振り。」
「金子さん少し時間ある?」
ずっとモヤモヤしていた疑問をスッキリさせたかったので、この申し出は願ったり叶ったりだった。
誰も居ない休憩室でコーヒーを買って二人でイスに座る。
「新しい部署は慣れた?」
「まぁ、なんとか………。」
何か言いたそうな顔をしながら、それでも中々切り出さない彼女に痺れを切らしたのは、やはり私だった。
「あの時、見たんでしょ?覚悟してたのになんで誰にも喋らなかったの?………あなた、噂話好きでしょ?」
「………噂話は確かにしちゃうけど………金子さんあの時、………本気だったんでしょ?」
「えっ………。」
申し訳無さそうに、だけど真剣な顔で佐藤みくるは私に問いかけた。