それでもあなたと結婚したいです。
「花枝っていい匂いがする。」
「そう?千春さんと同じ柔軟剤だけど。」
「その匂いだけじゃなくて、花枝だけの匂いが安心するんだ。」
スリスリと私にすり寄ってまるで猫みたい。
寝起きの千春さんは少し寝惚けているのか妙に甘えたなのだ。
「やだ………何か恥ずかしいからあんまり、クンクンしないでよ!」
「ダーメ。じっとしてて………。」
「えー。」
(確か、黒木先生はなるべく断らないようにって言ってたな………。)
「こうやって抱き締めると、結構小さいんだね。身体もプニプニ柔らかくて気持ちいい。」
「千春さん………癒し系のぬいぐるみじゃないんだから………。」
千春さんは抱き締めていた私を離すと自分が上になり私を組み敷いた。
朝日に照された千春さんの寝癖のついた前髪が色んな方向に向いていて可愛い。
「ぷっ!千春さん…寝癖凄いことになってる。」
いつもビシッと決めている人の少し抜けたところを見ると、何だか急に愛おしくなるのは私だけなのかな。
手を伸ばして彼の髪をすく。
「ぬいぐるみなんて思ってないよ。俺の大事な奥さんだ。」
真剣な目で私を見つめてさらっとこんな事を言ってくる。