それでもあなたと結婚したいです。
キッチンに向かう私を追いかけて、千春さんは後から抱きついてきた。
「ごめん。…………俺、笑っちゃったけど本当は凄く嬉しかったんだ。俺がここまで改善出来たのは、全部、花枝のおかげ…ありがとう………感謝してます。」
近距離で発せられる声に直ぐ骨抜きにされてしまうのはいつもの事だけど、感謝の言葉にぐっと来てしまう。
(ヤバイ………泣きそう。あれ?泣いていいんだっけ?何か、訳分からなくなってきた。)
「花枝?こっち向いて?」
涙を堪えるのか、流した方が良いのか、混乱した状態で、涙目の変な顔になってしまう。
そんな顔で振り向いた私を見て、もう一度小さくはにかむように笑うと、千春さんは私の目尻の涙に軽くキスをした。
「………仲直り?」
「しょうがないから………許す。」
「良かったぁ!!」
「じゃあ、朝食運ぶの手伝ってください!」
「了解!」
千春さんは敬礼の仕草を真似てフレンチトーストを運び始めた。
「うわぁ~!美味しそう!!俺、フレンチトースト大好き!!」
「甘いの好きだもんね~!」
嬉しそうにお皿を運んでいる千春さんは可愛い。
彼は時折、まるで年下の様な表情をする。
そんな彼を見ると母性本能なのか、私の中でこの人を守らなくちゃいけないと思ってしまう。
「花枝………花枝ってば?いい?」
「あ、うん………いいよ!」
「本当に?じゃあ、約束。」
聞いていなかったので、適当に話を合わせたら指切りをされた。
「って、何が?ごめん、聞いてなくて………。」
「だから、今日、一緒にお風呂はいろうね!」
「ん…………………?」
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