それでもあなたと結婚したいです。
ご飯を食べて、街をぶらぶらして、一通り満喫して私達は帰り道を歩いていた。
私のお気に入りのこの並木は、イチョウの木で出来ている。
長く続くこの道が、一面黄色に色ずく頃には、敢えてここを通る様にしていた。
秋の風を感じながら、冬の到来も感じれる特別な場所。
隣を見れば千春さんが居て、幸せいっぱいの筈なのに………。
今日は、全然楽しめない。
千春さん………恨みます。
「花枝………手貸して………。」
「えっ?………何?」
手を差し出す前にすっと手を握られる。
「あっ。」
「凄く冷たい。」
温めるように両手で私の手を包むと、千春さんはそれに息を吹き掛けた。
「冷え性なの?女の人は多いんでしょ?」
私の手を温めながら上目使いで聞いてくる。
目が合うだけで、いまだに心臓がトクンと反応してしまう自分がいる。
「…………うん。でも、大丈夫!いつもは手袋してるから。今日は慌てて忘れちゃったけど。」
「俺と居る時は、是非とも忘れて来てください…………。」
「どうして………?」
自分で聞いておいて、理由が直ぐ分かった。
分かるのに、千春さんの口からその言葉がどんな風に出で来るのか聞きたくて、わざと黙って待ってしまう。