それでもあなたと結婚したいです。
ドキドキしながら自分の服を脱いでいく。
私の後ろでもさっきから服の擦れる音がしている。
千春さんと一緒に居ると次から次へと胸の高鳴る事ばかりで、心臓が休む暇がない。
(後ろ振り向けば千春さんも脱いでるの?………あぁ、この後どうしよう………。)
「花枝…もう振り返ってもいい?」
「ああ!!まだダメ!!ちょっと待って!」
ずっと渋っていた最期の砦のパンツをさっと脱ぐと、私はバスタオルを巻いた。
「千春さん!!今から私が先にお風呂に入るので、私がいいって言ったら来てください!………いいって言ったらですよ?」
「はい。」
私は意を決してお風呂に入った。
さっと体を洗って、浴槽に浸かる。
たまにしか使ってなかったジャグジーのスイッチを入れた。
ぼこぼこと泡がたつと湯船の中は、ほとんど何も見えないから丁度いい。
(ジェットバス…グッジョブ!!)
これほどジェットバスを褒めたのは世界中で私くらいだと思う。
安心の泡に守られて、ようやく千春さんを呼んだ。
「千春さ~ん!いいですよ~。」
「はい。」
私はなるべく彼を見ないように入り口に背を向けて湯船に浸かった。
ドアの開く音がして、ヒタヒタとお風呂のタイルを歩く音が聞こえる。
よりいっそう激しくなる心臓。
「花枝………ずっと後ろ向いてるつもり?こっち向かないの?」
「だって、体洗ってる間、私にジロジロ見られるの嫌でしょ?だから、千春さんが浴槽に入ったら目開けるから。」