それでもあなたと結婚したいです。
濡れた前髪を掻き上げた状態で、あぶれた髪は顔に張り付いている。
その髪から落ちる水滴が鎖骨に滴って………
(うわっ凄い………自分がこんなフェロモン駄々漏れなの分かってんのかなこの人。)
「花枝に喜んで欲しくて、結構前に買ってたんです。」
はにかみ顔で私を見つめながら千春さんが話している。
「気に入った?」
「はい!とっても………。」
凄く恥ずかしいけど、私も迷わず彼を見つめた。
(いつもこうやって精一杯私に尽くしてくれる。本当に凄い事だな………私も頑張らなきゃ。そういえば、こんなに密着してるけど大丈夫そうだな。私の方がのぼせそう………きっと私の胸の鼓動も伝わっちゃってるだろうな………。)
「花枝…。」
名前を呼ばれるとそれが合図に少しずつ縮まる距離……
彼がバスタブに手を着くと二人の息遣いがぶつかり合う。
少しだけ顔を傾けて近づくに連れて、彼の瞳は伏し目がちに細められる。
その時、私の胸は千春さんでいっぱいになる。
(………千春さんのこの顔、凄い………好き………。)
「花枝………花枝………。」
(こうゆう時に私を呼ぶ、この低い声も………好き………。私達…このまま………。)
(身体中が熱い…あれ?なんだか………おかしい………目の前がぐらぐら揺れる………)