それでもあなたと結婚したいです。
「部長の奥様ってー」
私の問い掛けに、顔を上げた白川部長と目が合う。
「花枝先輩~~!!ロビーと会議室の花なんですけど、花屋さん来たのでチェックしてもらってもいいですか~~?」
「あっ!は~~い!!部長すいません。急ぎなんで私、行ってきます!!」
「慌てて走って転ばないようにね?」
「部長ー!!私、子供じゃ無いんですからね?!」
「そんなセクシーな子供がいるのかい?」
「もぉ~~!!」
さっきの部長の顔に後ろ髪を引かれながらも、私はその場を後にした。
会場に着くと既に色とりどりの生花が運び込まれていた。
バランスと色合いを考えて各場所にセッティングしてもらう。
「うん!完璧!後は総務の人に任せて自分の準備しなくちゃ………部長はもう着替えてたしOKだな。」
(そういえば………………部長、あの時どうしてあんな顔してたんだろう。」
時折気になっていた部長の困ったような笑顔に私はいつも疑問に思ってた。
愛妻家で有名な白川部長…何かあるのだろうか………。
(取り合えず、今は調印式に集中しなくちゃ!)
走りにくいヒールで小走りで廊下を走る。
いつもはない絨毯の繋ぎ目に引っ掛かりながらも、なんとか前に進んで行く。
(お化粧も全部やり直す時間あるかな?)