それでもあなたと結婚したいです。
令子に洋服を借りられたのは良かったのだけれども、なにせあの令子のお気に入りの洋服だ。
きわどいスリットは入っているわ、胸元も深く開いていているわで気が抜けない。
まだ色が派手ではない事が救いだ。
そうは言ってもデザイン、シルエットは凄くお洒落でハイブランド。
(営業成績トップのキャリアウーマンはこんな戦闘服を着てるわけね………これじゃあ相手もイチコロね。)
「フフッ、結構似合うじゃない?」
「そうかな?膝は隠れてるけど他のところがちょっと出すぎてない?」
「そんな事気にして姿勢悪くしないでよ?カッコ悪いから!」
普段は敵対してクールな女だと思ってたけど、本当はこんな暖かい一面もあると分かるとなんだか嬉しくなった。
「は~~い。」
「じゃあ、行ってらっしゃい。」
「うん!ありがとう!今度ご馳走する!!」
「OK。」
私は令子にお礼をして会場に急いだ。
(そろそろ先方がつく頃だわ。急がなきゃ。)
膝は痛んだけど、気分は最高だった。
(今日はいつもよりちょっといいワインを買って帰ろう!!千春さんと乾杯しよ!スイーツは千春さんに任せようかな………よし!!)
楽しいことを考えると、どんどんテンションが上がっていく。
(あの桐島とかゆう社長………今日は変なことしないといいんだけど………。まぁ、人目もあるし、大丈夫でしょ。)