それでもあなたと結婚したいです。
「花枝せんぱ~~い!!遅いですよ~~!!もう、車来てますよ!!」
「ごめん!ごめん!」
私は急いで白川部長の横に付いた。
「花枝ちゃん。間に合わないかと思ったよ~。」
小声で話す白川部長は横目で私を見るとグッと私に近づいて耳打ちした。
「今日は凄くセクシーで惚れ直したよ。」
ボッと顔が熱くなって部長を見ると遠慮がちにいつものウィンクをされた。
「ぶちょー…!!!」
私が言い返そうと口を動かした瞬間、白川部長の長い人差し指で唇を遮られた。
部長は微笑を浮かべて唇はシーッと言っている。
本当に何をするのも格好良く決まりすぎて困ってしまう。
(こんな時までふざけるんだから!)
不満を目で訴えながら前に向き直った。
高級車がエントランスに止まり、中からは三つ揃いのスーツをビシッと決めて桐島 彩矢が降り立った。
今日は隣に背の高い美人秘書も連れている。
まるで雑誌から飛び出したような二人のルックスに周りが小声で色めき立つ。
うちの社長が歩み出て笑顔で握手をする。
(変なこと言うめんどくさい奴だと思ってたけど、やっぱり社長なんだなぁ。)
そんな事を考えて見ていると、キョロキョロし出した桐島彩矢と目が合った。
私を確認すると何の躊躇もせず、一直線にこちらに向かってくる。
「君が案内してくれ。」
「えっ?」
私は突拍子もない言葉に目を丸めるしかなかった。