それでもあなたと結婚したいです。

売り言葉に買い言葉。

私は後悔していた。

(千春さん、来れるかな?いつも遅いし、普通に考えれば無理なことは分かってるんだけど………。とにかく電話してみなくちゃ。)


携帯を取り出し、千春さんにかけてみる。


(お願い出て!)


必死な思いで呼び出し音を聞いていると声が響いてきた。


「もしもし………」


「もしもし?千春さん?!」


「………申し訳ありません、奥様。秘書の佐伯でございます。」


「あっ、佐伯さん?すいません!あの、千春さんは今、電話に出れますか?」


「只今、会議中でございまして………もうそろそろ終わる頃なのですが、どうかしましたか?」


「あの、急用があるので会議終了後に、折り返しお願いします!」


「かしこまりまー」


「もしもし、花枝?どうかしたの?」


佐伯秘書を遮るように千春さんが電話に出た。


「あっ、千春さん?良かった!…急で悪いんだけど今日、7時頃って忙しいですか?」


「う~ん………どうして?」


「実は今日、調印式の後にパーティーがあって。」


「あぁ、そうだったね。花枝が頑張って準備してた仕事、実って良かったね。おめでとう!!」


「そんな、私なんて部長のサポートだけで、仕事をとってきたわけじゃありませんから………。」


「秘書の支えがあってこそ、仕事はスムーズにこなせるんだ。俺は良く分かるよ。」


千春さんの優しい言葉は私の中を、ほっこり暖かい気持ち
にさせた。


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