それでもあなたと結婚したいです。
手の中の炭酸水は冷えていて、いかにも美味しそうだ。
「千春さん………、お水の代わりに炭酸水飲みますか?」
「んん………炭酸水?………あぁ、いつも用意してくれてありがとう。」
「えっ?」
(佐伯秘書と間違えてる?)
「千春さん!しっかりして!もう、帰りますよ!!」
「ん?………うん…分かったよ………帰る。」
酔ってすっかり子供みたいになった旦那様を支える。
途中から白川部長にも手伝って貰ってタクシーに乗って帰った。
部屋までは何とか自分で支えて、着く頃にはへとへとになっていた。
「はぁっはぁっはぁ………マジ…限界………。」
リビングのソファーまで踏ん張って、やっとの事で二人とも崩れるように腰をおろした。
「ああ~…腰、痛………。」
「千春さん!ちーはーるーさん!ベット行けますか?」
「ん~~ん。」
(全くもう~。このままじゃスーツ皺になっちゃうじゃん。)
「千春さ~ん。スーツ脱がしますからね。変なことするわけじゃないですからね?」
(本当、自分の忍耐強さには自分で自分を褒めたくなる。)
座ったまま上半身を支え、ジャケットを脱がせる。
ネクタイを緩めて引き抜く。
(そう言えば、前もこんな事あった。あの時は大失敗だったっけ。)
「フフッ」
あの辛かった思い出が自分の中で笑い話に消化出来ている事に嬉しく思う。