それでもあなたと結婚したいです。

千春さんの下からすり抜けようと体を動かすと、肩を押さえられて止められる。

押し戻そうとしてもびくともしない。


「どこに行くの?」


上から降ってくる言葉に見上げると、上半身裸の彼は、虚ろな目で私を見下ろしていた。


(うぁ~エロ過ぎる………うぅ………直視出来ない………そんな誘惑するような目で見つめないでよ。)


「どこにって…だからー」


「花枝………誰にも渡さないって言ったろ?」


「えっ?………んんっ………!!!」


押さえ付けられるように唇を奪われた。

肩を押さえられたまま反対の手は脇腹辺りを撫でている。


「ち…はる………さん…」


噎せ返るような千春さんの匂い。

熱く火照った体。

私に触れる手。

全てが私の中を熱くして、何も考えられなくする。


「千春さん………止めてって………これ以上は止められなくなるから!!」


私の抵抗をあっさりと解いて、キスが続く。


「んんっ……」


息が出来なくて苦しくて、彼の胸を強く叩いた。

やっとの事で唇が離れる。


「はぁっはぁっはぁっ………………。」


二人の吐息が重なると薄く開いた瞳と視線がぶつかった。

ゾクッと身体中の細胞が沸き立つような感覚。

心臓の音だけが高鳴って響いているのが分かる。


(千春さん………。)


このまま………………。


自ら腕を伸ばして千春さんの身体に触れてみる。



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