それでもあなたと結婚したいです。

「………鏡?どうゆう事?」


周囲を見回して、クローゼットに備え付けの姿見を見つける。

恐る恐る近寄ると自分の顔を写してみた。


「いつもの私………。」


少し落胆ぎみに目線を落とした時だった。


「えっ?!」


鎖骨らへんが赤く色づいている。

よく見ようとTシャツの首を下にずらすとその跡は所々色んな所に続いていた。


「えぇっーーーーーーー!!!!」


一気に昨日の情景が浮かんでくる。

いつもより荒々しいキス。

私を蕩けさせた彼の指。

急に顔だけがボッと熱くなる。


(千春さんに付けられた後、残ってたんだ!!やだ、めっちゃ赤っ恥じゃん!!!桐島社長も気づいてた?うぁ~!最悪!!!どんな顔して会えばいいのよ~!このまま消え去りたい………。)


独りで、てんやわんやしていると部屋の外から声がした。


「おい。変な声が聞こえたけど大丈夫か?入ってもいいか?」


とっさに首もと押さえて隠す。


「だっ駄目です!!もう少し眠らせてください!!」


「本当に大丈夫なのか?」


「大丈夫ですから入って来ないでください!!」


「何だよ………。」


ぶつぶつ言いながらも足音は遠ざかっていった。


「はぁ~良かった。………でも、これからどうしよう…………。やばい………………千春さんを思いっきり突き飛ばしてたんだっけ…………………。」



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