それでもあなたと結婚したいです。

「花枝…………あんたこれからどうするつもりなのよ…………。」


鏡の中の自分に、何度問い掛けてみてもいい答えは返ってこなかった。

自分の頭が混乱している証拠だ。

あの時、千春さんが彼女の名前を呼んだのは事実だし、正直かなりショックで腹が立った。

もしかして、本当は5年前、千春さんも美緒さんの事を好きだったのかもしれない。

色んな考えが次から次へと浮かんできて、不安で挫けそうになる。


「花枝………………いつからそんなに弱くなった?」


鏡の中の自分は情けない顔をして、ただ私を見つめていた。


(いつまでも、ここに居るわけにはいかない。桐島社長に迷惑かけるわけにはいかないし、千春さんに誤解されても困る…………。)


「取り合えず………、家…帰らなきゃ!」


(木暮 美緒さんにも、聞きたいことがある。くよくよしてる場合じゃないんだ!!)


最初に着ていた服は綺麗に洗われて、丁寧に枕元に置いてあった。


(きっと、美緒さんが気を配ってくれたんだ。何にでも目が行き届き、完璧で全く嫌味がない。こんなに格好いい人に想われてたんだ………。千春さんって贅沢。私だったら即効惚れちゃうよ。)


「美緒さん………ありがとう。」


私は洗い立ての部屋着を纏って、桐島社長の居るリビングへと向かった。


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