それでもあなたと結婚したいです。
濡れた髪をフカフカのタオルで拭きながら泉さんが出て来た。
間接照明に照らされた泉さんは、昼間の爽やかさとは別に、妙に艶っぽくセクシーに見える。
いつもは上げている髪も濡れて顔に掛かっていて、その隙間から見える瞳が無性に胸を高鳴らせる。
(ヤバイ、めっちゃカッコいい!!)
「泉さんもシャンパン飲みますか?」
少し目を細めながらテーブルの方まで来ると、私が持っていたボトルを取り上げ、ゆっくりテーブルに戻した。
二人きりの部屋の中、ガラスのテーブルにボトルが音を響かせた。
「………名前。」
「えっ?」
「今日から貴女も泉になったんですから、私の事は下の名前で呼んで下さい。……………千春と。」
「あっ………はいっ!」
微笑を浮かべながら、いつもよりワントーン低い声で諭される。