それでもあなたと結婚したいです。

「お待たせしました。電話してみたんですが、留守電になるのでメッセージを入れて置きました。聞いたら直ぐ折り返ししてもらうように言ったので少し待ってみてはいかがですか?」


(留守電………誰かと会っているのかな?入れ違いになるのも嫌だし………。)


「でも…………」


「大丈夫ですから少し休んでください。少し熱があるんじゃないんですか?」


「!?………………はい。さっきまで熱は下がってたんですけど、………どうやらまた上がってきたみたいです。」


黒木先生は丁寧に紅茶を入れると耐熱性のガラスのカップに紅茶を注いだ。


「この色綺麗でしょ?普通の紅茶よりルビー色なんです。香りもフルーティーでとってもいい。リラックスできますから飲んでみてください。」


差し出された紅茶と隣にはあの有名店のエッグタルトが添えられた。


(あっ………。)


一瞬にしてあの日の光景が浮かぶ、仲直りしたあの日。

凄く心が温かくて幸せだった。


鼻の奥がツンとなって堪えきれない涙が滲む。

体調が悪い日はダメだ。

精神的に弱くなっていて直ぐ涙腺が緩む。


「何があったんですか?」


また、心地いい魔法の声が響く。

私は事のあらましを全て話して聞かせた。

黒木先生は最後まで黙って聞くと終りに「そうですか。」と一言添えた。


私が話終えてから暫く先生は考え込むような素振りを見せて私に向き直った。





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