それでもあなたと結婚したいです。

「そうですか………来てませんか………。」


何かあるといつも泊めて貰っている紺野 真弓さんのお宅に来ていた。

予想外になんの連絡もないと言う。


(一体何処に行ったんだ………あんな身体で………。)


「大体何かがあればうちに来るか連絡はしてきますから、もう少し待ってみてはいかがですか?私は構いませんけど。」

さっきからずっと携帯は呼び出し音だけでいっこうに繋がる気配がない。


「ご迷惑じゃないのなら少しだけ待たせて貰ってもいいですか?」


「もちろん。」


通されたリビングは自分の家のそれとは全く違っていた。

オレンジと黄色で纏められた明るい部屋。

あちこちに置いてあるおもちゃ。

壁には家族のスナップ写真がコルクボードに寄せ集める様に貼ってあった。

子供を中心とした生活が溢れていた。


(俺が普通だったら、もしかして今頃花枝のお腹の中には子供が居たかもしれない。)


「こんにちは!おじちゃん誰?」


「えっ!あっこんにちは!!」


急な声の主は男の子だった。

明るい声でハッキリと話す男の子は、少したれ目でママに似ている。


「たっくん。このおじちゃんは花枝ちゃんの結婚した人なんだよ!分かる?あのおっきいビルに住んでる人だよ!」


「あっ!!分かる!あのすっごく、すっごく大きい所でしょ?!!」


「………そうだよ。」


「いいなぁ~!!」

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