それでもあなたと結婚したいです。
33 ねむり姫の朝
肌寒い空気に目を覚ます。
ぼんやりと目が慣れるまで自然に任せ再びうずくまると、
胸の中の温かいものに気がついた。
少しだけブランケットを浮かせ中を見てみると薄着のまま小さくなって、俺の胸に寄り添っている花枝がいた。
剥き出しの肩が寒そうで、毛布を引き寄せくるんであげる。
「んん…………。」
小さな声をあげ、寝返りを打つ彼女がソファーから落ちないように慌てて支えた。
起こさないようにソファーの奥に寝かせてあげると、もぞもぞと気持ち良さそうにブランケットに顔を埋めている。
「ふぅ…………。」
パンツ一枚の姿で立っている自分を見ると何だか笑えてくる。
「フフッ…………クックックッ………………何やってんだ俺。」
カーテンの無い事務所の窓は朝陽がいっぱい差し込んで、冷たい空気が清々しい。
「俺………………………ちゃんと、出来たんだ………………。」
震えない手と胸いっぱいに広がる幸せな高揚感が俺を支配していた。
床に散らばった服を拾い上げ取り合えず着替えるとソファーの下に座り、花枝の寝顔を観察した。
「俺………昨日、がっつき過ぎたかも…………花枝大丈夫かな?」
あどけない寝顔を見つめていると、昨日の夜の彼女を思い出した。
「………マジ…………やばい。」
鮮明に焼き付いている彼女の全てを思い出すと、身体中が沸き立つように熱くなった。