それでもあなたと結婚したいです。

「私が秘書をしている間、何度か耳にしたことなんだけど、泉さんが今まで深い仲にはならなかったけど、何人もの女性と付き合っていたことは話したでしょ?」


「はい。」


「付き合った最初の頃は別にいいのよ。でも、ある程度付き合っていると、スキンシップの問題が出てくるでしょ?そりゃ、付き合っているんだもの当然の過程ではあるんだけど、泉さんにとっては大きな壁だったから女性から迫られる度に体調を崩したり、それに落ち込んでやけ酒したり。お酒に酔って眠る時よく魘されながら寝言を言っていたの。それも、大体は同じ様なこと。」


「寝言?」


「まるで、子供みたいな口調で『やめてよ、おかあさん。いやだ!』って。目を覚ましてから本人に聞いてみると何も覚えて無いって………何か手掛かりになるかしら?」


(おかあさん………ってお義母さんの事だよね?何度か会ったけど千春さんとは仲いいし、問題なさそうな気がするけど………。)


「分からないけど、取り合えず黒木先生に話してみます!」


「ええ。」


話が終わったところで廊下をパタパタ走る音が聞こえてきた。


「先輩~~!!会議終了しました。もう少しで皆さんこちらに来られます!!あっ!すいません!誰もいないと思って!」


「いいのよ。私もそろそろ戻るわ。」


「すいませんバタバタしちゃって。今度ゆっくりご飯でも行きましょう!!海外での話とか教えてください!」


「そうね!それじゃあ、また今度!」


美緒さんはそう言うと名刺を一枚テーブルの上に置いていった。


(よしっ!)


「浅海ちゃん!じゃあ、飲み物の準備するわよ!」


「は~~い!」

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