それでもあなたと結婚したいです。
34 First X'mas

仕事も終り、帰り道。

すっかり街はクリスマスの飾りに彩られていた。


(わぁ~~………綺麗。もう少しでクリスマスかぁ。クリスマスツリー何色の買おっかな?どうせなら千春さんと買いに行きたいな。今度の日曜、千春さん休みだったかな?)


少し上に目線を上げてお店の飾りを眺めながら歩いていると横に車が停まった。


「よぅ!歩きか?乗れよ!」


車のパワーウィンドーが下がって、現れたのは桐島 彩矢だった。


(げっ………。)


「おい!何だよその顔は、あの日の恩を忘れた訳じゃねーだろうな?」


「いえいえ。あの時は本当にご迷惑をお掛けしました。心より御礼を致します。」


道端で深々と頭を下げた。


「そんなのいーから、さっさと乗れ!」


「えっ?………でも………。」


「断れる立場か?」


「いえ!乗ります!」


(あ~~………。面倒な事になった。千春さんに知らせたら怒るかな?)


「よしっ!行くぞ!!」


真っ赤なスポーツカーがエンジンの唸りを上げて街中を駆け抜ける。

少し荒っぽい桐島らしい運転の仕方だ。


「ちょっと、スピード速すぎません?大丈夫ですか?」


「誰に聞いてんだ?俺はライセンスも持ってるんだぞ!」


(ライセンス持ってるからって安全とは限んないじゃん。むしろ命の危機が………。)


「何だよその顔?」


「いいえ。それでどこに付き合えばいいんですか?」


「いいところだよ。」


桐島はギアチェンジも滑らかに、意味深な笑顔で笑った。


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