それでもあなたと結婚したいです。
「仕事以外で会ってる時は社長って呼ぶな。ダッセーだろ。」
「それじゃあ、………………桐島さん。」
「…………まあ、取り合えず………いいだろう。」
満更でもなさそうな顔をして、恥ずかしそうにそっぽを向いている。
「どうしてそんなに、私によくしてくれようとするんですか?」
「………自分でも分かんねーよ………。ただ、お前みたいなのが急に泣くから俺は気になってしょうがないんだ。」
「お前みたいなのがって………私だって泣く時もありますよ。失礼な………。」
「違うよ。お前は普段は男勝りで、滅多なことでは泣かない。そうゆう奴が泣く時は本当に切羽詰まってるって事だろ?」
図星を突かれて返す言葉に詰まってしまう。
「昔、守りたかった人がいたんだ。………お前の性格によく似ていた。でも、当時の俺は無力で子供で………彼女の涙の理由に気づくことも出来なかった。」
「…………。」
「…おい!何か言えよ。」
「そうだったんですか。」
「それだけかよ。」
「何も知らない私が知った風な口をきいたら腹が立つと思って………人はそれぞれ自分にしか分からない痛みがあります。桐島さんがそれを私に打ち明けてくれたのは、私の事を信用してくれてるからだと思うのでありがたいとは思います。」
「ありがたい………ね。俺達はそれ以上には進まないって、防御線張ってるわけ?」