それでもあなたと結婚したいです。
「んっ?何これ?ドレスコード………来場者は全員入り口で配布される仮面を着けること?」
(ふ~~ん。丁度いいじゃない!!千春さんの本音を聞き出してやる!)
私はフルピッチで仕事を終えてその足でパーティーに着ていくドレスを見に行った。
どこを見ても中々気に入るものが見つからず困っていた時だった。
路地の奥にぼんやり輝くショーウィンドーが目に入った。
ここら辺では見たことのないアンティークのマネキンが西洋のお姫様が着ていたようなドレスを身に纏っている。
いくつものレースやフリルが重なりあいドレスを作っていてとても綺麗だ。
私は思わずその店に足を踏み入れていた。
店内は薄暗く、間接照明が所々あり、吹き抜けの天井にはシャンデリアがキラキラとクリスタルを反射させていた。
所狭しと掛けられた服や小物でいっぱいの店内。
(まるで魔女の館だな………。)
無意識に音を消して歩いて居たことに気づき、声を揚げた。
「すいませ~~ん!誰か居ますかぁ~?ドレス探してるんですけどー!!」
結構大きな声を出した筈なのに何の返答もない。
「繁盛してなさそうだし、お店の人どっか行ってんのかな?………いいや、次行こう。」
諦めて店を出ようとしたその時、暗がりから声が響いた。
「ドレス探してたんじゃないの?」
「えっ?」
振り向くと怪しい雰囲気の若い女性がドレスを抱えて立っていた。