それでもあなたと結婚したいです。
まるでひと昔前の中世にでも戻ったかのような彼女のドレス姿は驚くほど似合っていた。
濃いメイクは今時の若い子らしくて、よく見るとドレスもただのアンティークじゃなくて、現代風にアレンジされていてミニだ。
「どうしたの?見ないの?」
「いえ………あの…そのドレス………手作りなの?」
「そう、あたしが作ってる。気に入った?」
「あのショーウィンドーのドレス見て入って来たの。素敵だったから。」
「そうなんだ………ありがと。あの、ドレスは初めて作った物なんだ。あたし一人で作ったんじゃないけどね………。あたしの中で最高のドレス。」
ずっとぶっきらぼうだった彼女の表情が初めて緩んだ。
ほんのり頬をピンク色に染めた様子はきっとその一緒にドレスを作ったとゆうパートナーを思い出しているのだろう。
「それで?今日はどんなドレス探してるの?」
「あぁ!そうだった!!私、急いでて…とにかく別人に変わりたいの!知り合いにも気づかれないようなレベルで。だから、ドレスもいつもと雰囲気変えたくて。あまり個性的なのは困るけど私に合うようなドレスあるかな?」
ニッと口角を上げて笑うと、彼女の目がキラリと光ったような気がした。
「私に任せて!ヘアもメイクもトータルで出来るから!!ビックリするほど変身させてあげる!!」
「トータルで?出来るの?」
「あたしのセンス嘗めないでよね!!さぁ、こっちこっち!!」