それでもあなたと結婚したいです。
一つ目のパーティーに顔を出し、二つ目のパーティーへたどり着いた。
毎年、変わり映えのないお馴染みの招待客。
その中で、出てきては消えていく駆け出しの会社やベンチャー企業の若い社長。
そんな中でふと思い出す。
(そういえば、あの会社の部長さん来なくなったな…。話が面白かったのに…。)
「佐伯?藤田製菓の駒米部長は来てないのか?」
「藤田製菓?………ああ、あの会社は倒産したそうです。駒米部長はとても優秀な方でしたが噂によると、会社を継いだ息子が資金を使い込んだらしくて。」
「…そうか。それは残念だ。あの人は惜しい人材だった。今は、どちらに?」
「そこまでは分かりません。調べますか?」
「いや、いい。」
そんなに親しい仲でもないが、感じがよく博識で当時、久し振りに興味が湧いた人間だった。
(もう一度、話がしたかったな………。)
独りで感慨に耽っていると、いつもの様に騒ぎ立てる女性の声が聞こえてきた。
「silver Millenniumの泉CEOだわ!」
「奥様と来られると思ったのに、秘書と二人?」
「どうしたのかしら?」
「もしかして、奥様と上手くいってないんじゃないかしら?」
「えーっ!?まだ新婚でしょ?」
「だって、大きい声じゃ言えないけどあの奥様少し派手じゃなかった?」
「確かにねぇ。綺麗だったけど気が強そうだったわよねぇ?」