それでもあなたと結婚したいです。
「何してるの?さあ、行こうよ!!」
踏ん張る力も虚しく、引き摺られる様に少し進んだ時だった。
「待たせて悪かったね。」
男達の手の中から救い出すように、私の腰に当てられた手にぐいっと引っ張られた。
気づくと私は千春さんに手をとられていた。
驚いて振り向くと、彼は私の頭上から耳元まで近づいて耳打ちした。
(俺に合わせて…。)
こくんと頷いて意思表示をする。
千春さんは優しく小さく笑うと男達に向き直った。
「彼女は私の連れです。ご遠慮願えますか?」
「えっ?でも………さっきまで話してなかったじゃありませんか?俺達が来た後も黙ってたし。」
「フフフッあなた方にはそうゆう風に見えましたか?これも一種のプレイですよ。」
千春さんは意味深な笑顔を見せた。
「プップレイ?!」
「彼女と私の二人だけの遊びですよ。だから、早く二人っきりにしてくれませんか?」
「わっ分かりました!!」
若者の集団はビビったのかさっさと戻って行った。
時折チラチラと私達の方を見ながらこそこそと話している。
「すいません。変な事を言って。あなたにも失礼をしてしまいました。」
「いいえ………助けて頂いてありがとうございます。どうしたらいいのか困っていたものですから助かりました。」
「それなら良かった。あの男達もまだ、あなたを狙っている様ですし、暫くはこのまま一緒にいましょう。構いませんか?帰るなら御送りします。」