それでもあなたと結婚したいです。
「まだ、パーティーの雰囲気を味わいたいんです。暫くここにいさせてください。」
「確かに今日のパーティーは少し変わっていて面白いですね。煩わしいことも少なくてとても居心地がいい。」
「今日はクリスマスイブです。パートナーの方が一緒なのでは?」
「いいえ…妻は家に。」
「どうしてですか?周りは奥様も連れて来られる方が多いのに。奥様に用事か何か?」
「違うんです。ただ単に来て欲しくないんです。」
ズキンと胸の辺りが痛んだ。
直接本人の口から本音を聞くとやっぱりショックだ。
何て返していいのか、言葉が浮かんでこない。
「妻が来ると私は不安で、ろくに話もできないので………。」
「不安?」
フッと照れたように口に手を置き千春さんは笑った。
「恥ずかしい話です。私の妻はあなたの様によく人を惹き付ける魅力があるんです。ですから、この様な場所に連れてくると必ずと言っていいほど誰かの目に留まってしまう。それが不安なんです。」
千春さんの本音が私の心にじんと響く。
嬉しいような恥ずかしいような、むず痒い感覚。
「そんなこと言ってますけどあなたも相当、おモテになられるんじゃないんですか?奥様も独り家に置かれて不安に思ってるんじゃありませんか?」
「自分の事は考えていませんでした。そうか………それで怒ってたのか?」
「えっ?」
「実はその事で少し喧嘩になってるんです………。」