それでもあなたと結婚したいです。

「それなら、帰ってちゃんと本当の事を話したらいいと思います。きっと奥様も許してくれると思います。」


「ははっ!そうですね。少し悔しいですけど、男のくだらないプライドは捨てることにします!」


「はい!ぽいっと捨てちゃってください!クリスマスは本来、家族で過ごすものなのですから。」


「家族か……彼女が家族になってくれて、私は本当に幸せ者です。」


私は罪悪感で一杯だった。

千春さんを騙してここに居ることも。

彼を疑って怒っていたことも。

何故もっと彼の話をきかなかったのかも。

これ以上聞いていると何か泣けてきそうで私は立ち上がった。


(帰ったらちゃんと謝ろう…。)


「私…そろそろ帰ります!」


「そうですか………長々と私事を聞いていただいてありがとうございました。送りましょう。」


「いいえ!結構です!うちの者がロビーに居ますので独りで大丈夫です!」


「そうですか………。今日は楽しかったです。あなたに言われて色んな事に気づけました。良いクリスマスを。」


千春さんは最後に丁寧に自分の仮面を外して頭を下げた。


「こっこちらこそ!助けて頂いてパーティーを楽しめました。それでは失礼します。良いクリスマスを。」


私はそのまま千春さんに背を向けて歩き出した。


(何とかバレずにすんだ。千春さん…試すような事してごめんね………。家に帰ったらちゃんと謝るから、この姿だけ秘密にすることを許してね。)


歩き出して暫くすると後ろで甲高い女性の声が聞こえてきた。



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