それでもあなたと結婚したいです。
私達は腕を組み無言で、ロビーを通り過ぎ車に乗った。
張り詰める車内の空気に先に限界を来したのは私だった。
「千春さんごめんなさい!!………私…やっぱり、一人で帰ります!!」
ドアを開けようと身を捩ると同時に横から抱き締められた。
「花枝…ごめん。」
「えっ?」
「俺達の初めてのクリスマス………独りにして………ごめん。」
お酒で火照った熱い身体が私を包む。
静かな車内…ドキドキと高鳴る胸の鼓動だけが私の中で響いている。
「花枝?許してくれるならこっち………向いて?」
情けなくて、恥ずかしくて、涙が溢れる。
「花枝………泣いてるの?」
頭を撫でる手が顔に掛かっている髪を耳に流して、私の横顔から肩にかけては露になった。
「まだ………怒ってる?」
千春さんは囁きながら私の肩にキスをする。
久し振りの刺激にビクッと身体が反応して私は顔が熱くなった。
「俺の体温…忘れた?」
ただただ、顔を横に振るだけで言葉が出ない。
やっとの事で声を絞り出す。
「千春さん…ごめんなさい!貴方に腹を立てて、勝手に疑って、嫉妬してこんな試すような事して…私、妻失格ね…。」
「花枝は何も悪くない。全部、聞いたでしょ?俺の子供染みた嫉妬の所為だって。本当に恥ずかしいよ。君を誰にも取られたくなくて、誰にも見られたくなくて隠そうとしてしまった。」