それでもあなたと結婚したいです。
シャララン………
お店のドアに付いている呼び鈴が綺麗な音を立てた。
「こんにちは~!」
「はい。いらっしゃい。…て…あれ?どうしたの?またパーティーでも行くの?」
相変わらずバッチリメイクをして、自前の洋服を着た彼女が出て来た。
「あの時はどーもお世話になりました!」
「別にいーって。仕事だし。」
「近く通ったから、これ差し入れ!」
「えっ?いいの?」
キランと目を輝かせる所はまだまだ若い証拠だ。
嬉しそうに近寄ってきて受け取ると中を覗いていた。
「あなたほっそいからもっと食べなくちゃ!!」
「しょうがないでしょ…売れなきゃ喰えないし………。」
買ってきたハンバーガーを早速取り出すと口一杯にほうばっている。
まるでリスのようで可愛い。
「絶対売れるよ!舞台衣裳とか特殊な物も扱ってみない?私、何件か伝があるんだけど…どう?」
「あ~あたし、コネとか嫌なんだ。実力で売れたいから。」
「コネとかじゃないよ。私にそんな力ないし。紹介はするけど相手先に気に入られる物出さなきゃ、その場で却下だし。実力がモノを言う世界だもの。どう?やってみる?」
「実力…か………いいね。やってみたい!!」
「じゃあ、これ、私の名刺。日程決まったら教えるね!」
「泉………花枝。」
「はなえって書いて、かえって読むの。宜しくね…えっと…」
「私は壱岐(いき) ミレイ宜しくね!花枝ちゃん!!」
クールな彼女が人懐っこい笑顔で笑った。
思いも寄らない笑顔にノックアウトされる。
「笑わないとクールで格好いいけど、笑うとめっちゃ可愛いな………。」
「なっ何言ってんだよ!!」
「あれ?今度は真っ赤になってデレた。やっべ~たまんね~!!」
「もぅ~バカっ!!」