それでもあなたと結婚したいです。
照れて顔を隠す彼女は本当に初々しかった。
「ねぇ?あのショーウィンドーのドレス、彼氏と作ったの?」
「えっ!?何で?あたし達、別にそんな関係じゃないよ!!」
「ふぅ~ん。やっぱり男と作ったんだぁ?」
「それはそうだけど…………。何も無かったし。私が勝手に好きだっただけ………。」
「それで?その彼は今はどうしてるの?」
「知らない。急に居なくなった。どこで何してるのか…生きてるのか死んでるのか…それさえ分からない。」
ミレイはショーウィンドーのドレスを眺めていた。
きっと今でさえ、そうして眺めては彼の事を思い出しているのだろう。
「そう…なんだ。」
「お茶くらい出すよ。ここ座ってて。」
「あ…うん。」
店中に置かれた小物やドレス達。
彼女が一つ一つ思いを込めて作ったからかキラキラと輝いて見える。
(彼女は絶対有名になる!)
私は更に確信した。
「お待たせ~!」
袖を巻くって入ってきた彼女はトレーにコーヒーを乗せて来た。
白く細い腕に何気無く目をやると古い傷の様な痕が見えた。
「あっ………見た?」
「なっ何が?」
とっさに惚けたけど私の態度はバレバレで彼女は更に腕を巻くって私に見せた。