それでもあなたと結婚したいです。

「ねむり姫……ねむり姫……。 」


(誰?ねむり姫って呼んでるのは……?私を呼んでいるの?)


「そうだよ……ねむり姫。俺を忘れたの?」


(あなたなんて知らない。)


「君はずっと眠ったままだ。これからもずっとそうさ。」


(何言ってるの?私はずっとなんて寝ていられないわ。現に今だって起きようと思えば簡単に……あれ?…何で体が動かないの?目も開けない!!)


「それは君が目覚めたくないって思ってるからさ。ずっと、ずっとこのままがいいんだろ?見たくないものには目を背けて、幸せな今だけが大事なんだろ?」


(それの何がいけないの?幸せならいいじゃない!)


「あはははっ!!君って案外自己中なんだね?自分さえ良ければ幸せなんだ。大好きな人が苦しんでても見て見ぬふりをするんだ?」


(そんなことしてない!私は千春さんが苦しんでたら絶対助けるわ!!)


「ふ~ん……。じゃあ、どうして助けないの?」


(えっ?)


「あんなに千春が苦しんでるのに…。」


(千春さんが苦しんでる?)


「そうか……君には見えないんだ。それならそうやって逃げるのも仕方無いね。」


(逃げてなんかない!!私達は幸せで………千春さんだっていつも笑ってる。苦しんでなんか……。)


「本当にそう?………よく思い出して……。そうすればきっと………」


(きっと何?………よく聞こえない!)


「待ってってば!!」







< 365 / 436 >

この作品をシェア

pagetop