それでもあなたと結婚したいです。
「先生………。花枝さんは大丈夫ですか?」
「ああ…うん。傷自体は出血はしたが深くないから大丈夫だよ。」
「泉さんが心配ですか?」
「…………一体何処に行ったのか。もしかしてトラウマの原因を全部思い出したのかもしれない。彼の精神状態が心配なんだ。何をするか分からない。」
「…………二人は大丈夫でしょうか?」
「それは私にも分からない。」
「とにかく彼と話をしなければ。何か手掛かりがあればいいのだけれど………。」
カチャンとドアが開く音がして、花枝が顔を出した。
「花枝さん!まだ休んでないと駄目です!無理しないでください!!」
白金が駆け寄って支えると花枝はそのままソファーまで歩いて座った。
「先生……ずっと黙っててすいません…。前に千春さんのトラウマの事で木暮美緒さんから聞いていたことがあったんです。」
花枝は痛む頭を押さえながらソファーにもたれてそのまま話し続けた。
「彼女が言ってたんです。千春さんの寝言がいつも同じだったって………女性問題でメンタルが弱ると酔い潰れて、決まっていつもうなされていたそうです。」
「彼は何て?」
「確か…『やめてよ………おかあさん………いやだ!!』千春さんのお母さんの事ですよね?」
黒木は一時、何か考え込むように遠くを見つめるとジャケットを掴んで立ち上がった。