それでもあなたと結婚したいです。
「先生?何処へ行かれるんですか?」
「取り合えず行ってみます………彼の実家に。」
「先生!私も一緒に…痛っ………。」
急に立ち上がってよろける花枝を黒木が抱き留める。
「困った人だな…。」
「わぁっ!」
黒木は花枝を抱き上げると、そのまま仮眠室まで行き、花枝をベットに寝かせた。
「花枝さんは暫く安静にしていてください。白金くん、頼んだよ。」
「はい、先生!」
黒木は事務所を後にすると泉の実家へと車を走らせた。
「『おかあさん』………一体どうゆうことだ?彼の母親は幼少の頃から知ってるが、親子関係には何も問題は無かったはず………。いや、真実は本人しか分からない…。私の知らない何かがあるのか…?」
昔の記憶を手繰り寄せる。
「確か………昔…………何かあの家で騒ぎがあった………。よく分からないが次の日はもう普通に戻ってた。千春もいつも通りで………あの時、本当は何かあったのか?」
何か見落としているようで頭の中がモヤモヤする。
「何を見落としている………?思い出せ。」
曇っていた空は、いつの間にかどしゃ降りの雨となって行く手を阻む。
ワイパーも追いつかないほどの雨がフロントガラスを占領する。
「嫌な予感が当たらなければいいが………。」