それでもあなたと結婚したいです。
「それで、その山本 日登美とゆう方は警察に引き渡したんですか?」
「いいえ………。彼女は私が気が動転して千春に駆け寄っている内に消えていました。暫くは捜したんですが見つからず、千春は気を失って次の日、目覚めた時には何も覚えていませんでした。何も知らずに笑っている千春を見たら無理に思い出させる事は無いと思うようになって………。」
「そう…でしたか。」
私達三人はそれぞれ思い思いに押し黙った。
お義母さんも千春さんも何も悪くない。
私は只々悔しい気持ちでいっぱいだった。
その後、暫くは黒木先生がお義母さんに色々と当時の千春さんについて聞いていた。
何杯目かのお茶を入れ直して、ふと時計を見ると夜の9時を迎えようとしている。
通りで胃が痛い筈だ。
軽く何か夕食を作ろうと冷蔵庫の中身をチェックしている時だった。
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聞き覚えのある音が聞こえた。
「はい。黒木です。」
先生が電話に出る。
「えっ!!………はい!!………分かりました!!取り合えずうちに運んで下さい!!うちの病院分かりますよね?………はい!そうです!!じゃあ、お待ちしてますので!!」
お義母さんと私は訳が分からず顔を見合わせた。
「大変です!!泉さんが出先で倒れました!!これから黒木病院に運ばれてきます!!」
『私も行きます!!』
私達は声を揃えて即答した。