それでもあなたと結婚したいです。
「花枝っ!!」
悪夢から解放されて目を覚ますと、ずっと会いたかった人が俺を見つめていた。
俺の突然の目覚めに驚いた様な、安心した様な顔をして、瞳には涙を浮かべていた。
その涙を拭おうと手に力を入れるとその手は温かい手に包まれていた。
「千春さん………千春さん……もう、大丈夫なの…?」
不安そうな顔をして、俺をずっと心配して、ずっと手を握っていてくれたんだ………。
そうだ………俺には君がいたんだ。
どんな時もいつも俺を助けて、いつも傍に居てくれる君が………。
俺は彼女の前に腕を開いて伸ばしてみる。
「千春さん………。」
彼女は迷うことなく俺の腕の中に飛び込んで来た。
未だに情けなく震えている胸に顔を寄せて、背中に腕を回すと俺を見上げ微笑んでいる。
「………ずっと、………会いたかった………。」
ありったけの気持ちを込めて俺は彼女に伝えた。
その後は只々、彼女を抱き締めるだけで、言葉にならなかった。
今、これ以上言葉を続けたら、情けなく泣いて止まらなくなりそうだから。
また彼女が俺の名前を呼んでくれるだけで、今は十分だった。
「千春…千春………ごめんねぇ…ずっと、苦しんでたの知らなくて…お母さん…母親失格だね。」
母さんがこんなに泣いてる姿を初めて見た。
「母さん…。何で母さんが謝るんだよ。俺は大丈夫だから、泣かなくていい。」